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「触るだけ」という言葉に嘘はなかったけれど、その触り方がすごかった。
ベッドの上に仰向けにされて、髪から足のつま先まで、余すところなく触れられる。指で、くちびるで、舌先で。探るように触れられて、敏感なところを突き止められると、容赦なくそこを攻め立てられた。
再び固くなったペニスをゆるゆると抜かれながら、皮膚への絶え間ない愛撫。二度目の射精の後、ようやく身体が離れたと思ったら、今度はうつ伏せにされた。うなじから背骨を、もどかしいくらいゆっくりとくちびるが這う。尾てい骨に吸い付かれると、意識が飛ぶかと思うほど激しい快感が身体を貫いた。嫌々をするように必死になって抵抗したけれど、貴裕は動きを止めない。くちびるがさらに下部を探り、自分では見たこともない場所に辿り着く。
両腕で腰を抱えられ、尻を突き出すような姿勢で固定されると、舌先で円を描くように舐められた。
「……嫌だ、やめっ!」
未知の感覚に気絶しそうだった。内臓を触られるような恐怖感と、ほの暗い快感。その二つがいっぺんに押し寄せて、感極まった僕の目から大粒の涙が零れ落ちた。うっ、と嗚咽が漏れると、貴裕の動きが止まった。身体を起こして僕をぎゅっと抱きしめてくる。
「ごめん、……俺、がっついてる」
あやすように頭を撫でられ、僕は首を横に振った。
「こっちこそ、泣いたりしてごめん」
「怖かった?」
「少しだけ」
「もうこれ以上はしないから、」
「ぎゅってしていい?」と顔を覗き込まれ、僕は頷く。
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