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「じゃあ、俺の上に乗っかって」
誘われるままに、仰向けに寝転んだ貴裕の上にぴったりと重なる。
「重くない?」
「全然。体重、全部かけて。その方が気持ちいいから」
僕は貴裕の体に圧し掛かる。貴裕は僕の背中に両腕を廻し、ぎゅうっと力を込め、密着してくる。
「蒼一さん、好き」
僕の肩に顎を乗せ、あまえるように繰り返し擦りつけながら、貴裕が囁く。
「ずっとずっと、好きだったんだよ」
その声が、なぜか泣いてしまいたくなるくらいせつなくて、僕も貴裕の身体に腕を回して強く抱きしめた。
窓の外を眺めると、あんなにどしゃ降りだった雨はいつのまにか上がっていた。交代でシャワーを浴び、貴裕が用意してくれたTシャツとスウェットに着替えた。
「蒼一さん、今日から俺の恋人ですから」
貴裕の言葉に、一瞬で真っ赤になってしまう。そんな恥ずかしいことを普通に口に出すな、と言おうとしたけれど、貴裕があんまり嬉しそうににこにこしているので、やめた。
「毎日『あいしてる』って言って下さいね。それから、次はちゃんとセックスしますから、覚悟しておいて」
「セックス」という言葉に、まるで中学生のように過剰反応して、貴裕の顔をまともに見られなくなる。
「……やっぱ、めちゃくちゃ可愛いです。蒼一さん」
爽やかな笑顔のまま僕を見つめる瞳がやけに甘ったるくて、照れくさかった。
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