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 車のルームミラーで笑顔のチェック。にーっと笑って引き攣っていないことを確認してから、気合いを入れるために両手で頬をバチバチと叩いた。  大丈夫、大丈夫。今日も絶対うまくいく。  大きく息を吐いて、車から飛び出した。今日は風が冷たい。急ぎ足でエントランスへ向かい、荷物を詰め込んだ大きなボストンバッグを抱えて、エレベーターに乗り込んだ。 「あれ? 今日はゆうすけくんはいないのかなあ?」  きょろきょろしながら、病室のカーテンを少し開けて、中を覗く。 「ゆうすけくーん、遊びに来たよ!」  こちらをちらりと見て、男の子は恥ずかしそうにベッドの中に隠れた。 「ゆうすけくん、どこかなー? 今日は素敵なプレゼントを持ってきたんだけどなあ」  その言葉に、ゆうすけくんがベッドから飛び出す。 「ちょーだい、プレゼントちょーだい!」 「はい、プレゼントだよゆうすけくん、気に入ってくれるかな?」  小さな四角い箱を差し出す。手にとって箱の蓋を開けた瞬間、中からピエロの人形がビヨーンと飛び出して、ゆうすけくんは「ぎゃあ!」と声を上げて笑い出した。 「ピエロさん、おんなじだ!」 「そう、ちっちゃな僕だよ。ゆうすけくん、僕のこと大切にしてね」 「お鼻が赤くて、へーんな顔」  けらけらと笑うゆうすけくんの側で、僕はおもちゃのラッパをブワッと吹いた。
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