カムパネルラは死んだ

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 目が覚めるとそこには、何の変哲もなかった。  強いて言うならば、夜が朝になり、暗かった部屋が明かりをつけなくとも明るい、私の部屋だ。  ただ、誰がセッティングしたのかも分からない、透明で、重みのないスクリーンとプロジェクターがそこにはあって、私が今まで見ていたことを再生していた。  「カムパネルラ……」  思い浮かんだその言葉は目覚める直前、私が言った言葉だ。彼はそれを否定した。  「ちがうよ。これは――」  彼がなんと言ったのか、どうしても思い出せない。けれどその花の名前を言って、私にくれたのだ。紫色の、粒々した花を。  彼は笑っていた。私も微笑んだ。とても幸せだった。
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