カムパネルラは死んだ

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 カムパネルラとは宮沢賢治作『銀河鉄道の夜』に出てきた登場人物ではなかったか。私がこの作品を読んだのは小学生くらいの時だから、ストーリーはもう覚えていない。タイトルから察するに銀河を旅する物語、そこにカムパネルラという人物が出てきたのであろう。  そんな、自分でも意識せず、今の日常生活に必要ともしない情報を、夢は突然引っ張り出してくるから驚かされる。  私が目覚める直前まで見ていた夢は、同僚なのかクラスメイトなのか、とにかく大勢いる人々のなか、私と彼はお互い遠くに居る。大勢の人々が私と彼を阻む(はばむ)。  時々目が合うとお互いちょっと恥ずかしげに笑う。そんな彼が私に花をくれた。紫色の粒々の花だ。その時彼は「この花の名はカムパネルラというんだ」と言った。だから私は目覚める直前、彼がもう一度私に花をくれた時「カムパネルラ」と言ったのに。  彼は「ちがうよ。これは、」そうしてなにか、新しい名前を言ったのに、私にはその部分の記憶がなく目が覚めた。  彼、とは最近ドラマや映画で活躍している俳優、野宮カヲルだ。絶対手の届かない男。けれど夢のなかでは容易く私の手の届く範囲にいて、私のことを優しい眼差しで見つめてくれて、大勢のなかにいても最後は私のところに来て花を贈ってくれる。
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