悠里と美里

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妹の美里はいつでも私の真似をした。 お気に入りのヘアゴム、クリスマスに買ってもらったおもちゃ、ピンクのミニスカートやそれに合わせたひらひらの靴下も、思い当たる私のお気に入りのものたちは、みんな美里に真似された。 物を盗まれた訳じゃないし、真似されたから何だという話だから、無邪気に私の姿を真似てくる妹を無下にはできなかった。 でも、美里の真似は次第にエスカレートしていった。 私と同じ部活。 私と同じアルバイト。 私と同じ大学。 私と同じ友人。 そしてつい最近、付き合って3ヶ月の恋人が、美里と街を歩いている所を見かけた。 もう限界だった。 いくら真似されても、彼だけは譲れなかった。 私は自室でスマートフォンをベッドに投げつけた。 今日は美里はアルバイトで家にいないはず。 私は美里の部屋へ向かった。 部屋の扉を開けようとするが、何かがつっかえて開かない。 鍵でもかけているのだろうか。 私は唇を血が滲むほど噛んだ。 「鍵かけたの。誰かに入り込まれるといけないから」 後ろから声がした。
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