冬の終わり

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水曜、六限、午後三時。 微睡、板書とシャーペンの音が、私の頭上に漂っていた。 窓際、私の特等席から、三月の空を見上げると、太陽が霞を纏って滲んでいた。紛れもなく、空は春の色だった。それは私に、冬が終わったということを、語りかけるようでもあった。 睡魔の中で、私は冬のことを思い出す。閉じかけた瞼の裏側に、微かに記憶の残像が浮かぶ。
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