第三章 再会

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夏休み。 俺は必死に地元で就活をしていた。 最悪、母校で拾ってやるとは言われていたが、出来れば、自分の力で仕事を見つけたかった。 その日も暑く、俺はスーツのジャケットを脱いで、手で持ちながら駅から自宅までの道のりを歩いていた。   その時、陽炎の向こうに見えた光景に、 俺は無意識に足を止めた。  「久しぶり!先生」 「安藤……」    いつもはきっちり2つの三つ編みにしている髪が、今日はポニーテールにしていて、汗で項に張り付くおくれ毛が色っぽい。 「あっついね。お茶の約束は、まだ有効ですか?」 「もちろん有効。でも先生方に見えないところにしよう」 喫茶店で、二人してケーキセットを頼む。 男がケーキセットなんて、と笑われるのを覚悟していたが、安藤は何事もなく受け入れた。  ケーキセットを食べながら、いろんな話で盛り上がる。 最近読んだ小説のこと、観た映画、俺の大学生活について。果てには、俺が昔小説家を目指していたことまで話してしまった。  それについても安藤は笑わなかった。 なんだか、肩の力が抜けるようで、安藤といるのは気が楽だった。 別れ際、俺はポン、と安藤の頭を撫でた。 「また明日、この場所で」 「次に会うときは先生の小説読ませてね」 「もう先生じゃないんだし、歳も近いんだから、名前で呼んでよ」 「あ、晶さん……」 照れ隠しに空を見上げると、きれいな夕焼け空だった。 遙も空を見上げた。 「遥との初デートの最後に、いいもの見れた」 「うん、私も」 電車が入ってきて、遥は帰って行った。 翌週、俺は見事に内定を獲得した。   空を見上げると、雲一つない青空。 絶好の告白日和!   俺は遥との待ち合わせ場所である駅へと、軽い足取りで向かった。
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