第一章 出会い

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教育実習で、俺は彼女に出会った。 大学3年の春、教職過程を取っていた俺は、久々に母校を訪れることになった。 今回は教師見習いとして。 担当科目は古典。 これは、俺が大学で専攻しているから。 その他に、部活動の指導もすることになっているが、これは否応なしに柔道部になった。 俺は、柔道の特別推薦で大学に入学している。 高校時代にはそれなりの結果を残したが、大学に入ってまもなく、膝の故障でマネージャーをすることになった。 幼い頃から柔道を習ってきたから、最初は悔しかったが、今では落ち着いている。 将来は整術師になるか、安全に教師になるか悩みどころ。 「せんせー、次私バレーボールに出るから見ててね」 「じゃあ先生、私と見よ?」 球技大会。 若い男の教諭がいないことと、おれがそれなりにいい体格をしていることもあって、女子生徒に囲まれている。 「隣いいですか?」 声をかけてきたのは、清楚系美人の女の子と、お人形みたいに造作の整った女の子。 もっとも、お人形さんは一言も口を利かないけれど。 この子達は俺に興味があるわけではないようで、二人でコソコソっと話してはクスクス笑いあっている。 天使のさえずりみたいだ。
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