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 そんなに人生というものは考えたような最悪の展開を迎えない。最高の展開も迎えない。これは二十一年という歳月の中で気づいたことだ。しかし、最悪を迎えずに済んだ安堵より、最高を迎えられなかった消沈のほうが大きくてつらい。人間はどうしてこんなにも自分勝手な生き物なんだと責任転嫁をせずにはいられない。かっこ悪い。  だから僕は君を想うことしかできない。もっと顔立ちがハンサムだったら君のほうから何かしらのアピールの一つや二つがあったろう。もっと勇気のある人間だったら今から呼び出して告白するのだろう。もっと知性に富んだ人間だったら君をときめかすようなことを言えるのだろう。もっと強い人間だったら誰かに君への想いを打ち明けずに済んだだろう。もっと優しい人間だったら君がほかの男の友人と遊ぶことにとてつもない嫉妬の炎を燃やすことも、引き留めればよかったと大きな後悔を抱くこともなかっただろう。つくづく思う。僕はかっこ悪い。
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