序章

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「ああ、何かね?」 「私は少年の頃より日本から来た遣唐使のお世話をして来ました。その役目を終える今となってはこの様に髪も白く染まり、髭も伸び切り老人となってしまいました。ところがあなたは私が少年の頃より姿形が一切変わりませぬ。どういうことでしょうか」 若者は微笑み返し、その問いに答える事は無かった。 こうして若者は一人広大な大陸を旅することになった。若者はこの旅の道中で通った地域にある学問、呪術、魔術、ありとあらゆるものを修めていった。唐の長安より西に西に進んだ旅の最終地点はグレエトブリテンと呼ばれる島であった。この島でケルト人の祭祀であるドルイド達と交流を結び、彼らの呪術を学んだ辺りで望郷の念に囚われこれまで来た道をそのまま戻り日本に戻ることにした。若者が日本に着く頃の京の都は国風文化の風が吹き荒れる平安の世真っ盛りであった。
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