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関町大雅は愛想がよく整った顔をした男だ。
背丈は自分と同じ位だから180センチを少し超えているだろう。痩せている自分とは違い、スーツの似合う体つきをしている。歳は自分より五歳年下だ。
龍之介の姉である原清美(はらきよみ)の部下であり、高級輸入雑貨を取り扱う会社に勤めている。
初めて関町と会ったのは清美とその家族が住むマンションでだ。
義兄はバイヤーをしており、明日から海外に行く事になり一緒に飲もうと誘われたのだ。
清美から関町の話しを良く聞くからか、はじめて会ったのにそんな気がしなかった。
それを素直に口にすると、向こうも同じような事を感じたそうだ。
食事の準備は既にできているので関町を自分の隣に座らせ、ワインをグラスに注いだ。
話の中心は関町と清美で、話をつまみに義兄と龍之介は酒を楽しむ。
それも一段落した頃、関町がこちらへと顔を向けて話しかけてくる。
「えっと、佐藤さんはパティシエさんなんですよね」
清美から聞いているのだろう。関町は甘いものが好きで、何か作ってあげてと言われていた。
「甘いものが好きなんだってな」
「はいっ」
「関町君とナツメの為にタルト・フランボワーズを作っておいた。持ってくるよ」
冷蔵庫で冷やしておいたのをナツメと関町の分を大きめに、人数分カットする。
ナツメはその為に食事は少な目だったし、関町は酒も食事もガッツリと食べていたが、デザートは別腹なタイプのようだ。
大きめにカットされているのを見て喜んでいたから。
「頂きます」
それを食べた瞬間に、表情をゆるませこちらを見る。どうやら口に合ったようだ。
「すごく美味しいですっ!」
「そうか」
本当に美味そうに食べる。作った本人としては気持ち良くなれる表情だ。
「今度、お店に行きますね」
「あぁ、待っているよ」
その時はおまけしてやると言い、その後も楽しく酒を飲んだ。
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