Ennuyeux

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 家に帰るという関町と共にマンションを出た。火照った頬に夜風がとても気持ちが良い。 「あの、佐藤さん」 「ん?」  何かを言い淀む関町に、足を止めて言葉を待つ。 「少しだけ良いですか」 「何か話があるのか」 「はい。公園があるのでそこで」  もう少し夜風にあたりたかったので、良いかと誘いに乗ったのだが、まさか、あんなことを言われるとは思わなかった。 ◇…◆…◇  こんな経験初めてだ。  少し大げさな例えだが、まるで雷に打たれたかのような衝撃を受けた。  今まで付き合ってきた相手に対して、こんな風になった事は無いし、告白も別れも向こうからだった。その度に「いいよ」しか口にしたことがない。  なんとなくの付き合いは長続きするわけがなかった。  本気の恋はこんなにも胸をときめかせるモノなのか。  しかも相手はどこからどうみても男。中性的という訳でも美人という訳でもないが色気のある人だ。  身長は同じくらい。体型は細めで少しほりが深く顎鬚をはやしている。  パティシエをしているので、普段は髪をひとまとめにしているのだが、帰る時はそれをほどいていて、黒のライダースと細身のパンツというスタイルは、パティシエをしている時とは違う男らしさがありカッコイイ。
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