274人が本棚に入れています
本棚に追加
家に帰るという関町と共にマンションを出た。火照った頬に夜風がとても気持ちが良い。
「あの、佐藤さん」
「ん?」
何かを言い淀む関町に、足を止めて言葉を待つ。
「少しだけ良いですか」
「何か話があるのか」
「はい。公園があるのでそこで」
もう少し夜風にあたりたかったので、良いかと誘いに乗ったのだが、まさか、あんなことを言われるとは思わなかった。
◇…◆…◇
こんな経験初めてだ。
少し大げさな例えだが、まるで雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
今まで付き合ってきた相手に対して、こんな風になった事は無いし、告白も別れも向こうからだった。その度に「いいよ」しか口にしたことがない。
なんとなくの付き合いは長続きするわけがなかった。
本気の恋はこんなにも胸をときめかせるモノなのか。
しかも相手はどこからどうみても男。中性的という訳でも美人という訳でもないが色気のある人だ。
身長は同じくらい。体型は細めで少しほりが深く顎鬚をはやしている。
パティシエをしているので、普段は髪をひとまとめにしているのだが、帰る時はそれをほどいていて、黒のライダースと細身のパンツというスタイルは、パティシエをしている時とは違う男らしさがありカッコイイ。
最初のコメントを投稿しよう!