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二人の関係は清美にも知られている。恋人同士になった日に関町が連絡をしたそうだ。
姉には元々隠すつもりはないので別にかまわないが、連絡もなく突然やってくるとは思わなかった。
「あら、やだ~、お邪魔だったかしら」
と、言いつつもやけに楽しそうだ。
「姉さん」
「関町君、おはよう」
頭を抱える龍之介を無視し、関町の元へと向かう。
「清美さん、おはようございます」
まだ寝癖のままの髪に、ワイシャツとスーツのズボンという恰好。あきらかに泊まりましたといわんばかりだ。
「ふふ、やるわねぇ関町君」
と自分の首を指でとんとんと叩く。
そこには昨日の情事の痕が残る。洗面台の鏡でそれを発見した時は、目立つところに痕をつけたことに関町を叩き起こして叱ったのだが、二人きりだからと隠すことなくしていたのがいけなかった。
「えへへ、やっちゃいました」
「朝飯は?」
「食べた。珈琲を頂戴」
根掘り葉掘り聞きたいのだろう。その役目は関町に押し付けて龍之介はキッチンへと向かう。
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