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Rapports Sexuels ※
数時間後、帰ってきた関町は酒臭く、何処かで飲んできたようだ。
「あれぇ、龍之介さんの幻が見える」
何がおかしいのか、ケタケタと声をあげて笑い始める関町に、
「酔っ払いめ」
と冷たく言い放つ。
「え、本物?」
すぐに笑いを収め、目を瞬かせる。
「どんだけ飲んできたんだよ、お前はっ」
「はいっ、生中を5杯程ですっ」
酔いが一気に醒めたか、背筋をぴんと伸ばした。
「まったく、ずいぶん待たせやがって。話があるから中に入れろ」
「わかりました」
慌ててポケットから鍵を取り出してドアを開けた。
「どうぞ」
「あぁ」
家主より先に上がり、キッチンへと向かう。そして冷蔵庫に料理とワインを入れた。
「長谷さんと食べたんじゃ……」
後をついてキッチンへと入ってきた関町がそれを見て目をしばたたく。
「お前が居ないから余ったんだよ」
もともと二人分しかないのに余るはずがない。そういう事には直ぐに気がつくようで、うそと呟き口に手を当てた。
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