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水
火村が行方不明になってしまった。
水島は記録を読み返していた。
捜査班は主婦、小池景子の取調べを執拗に行った。景子は妊娠中であり、取調べには細心の注意が必要であったにもかかわらず、榎木はありもしない罪の自白を厳しく迫った。景子はノイローゼに陥るなど、精神的に極めて深刻な状態にまで追い詰められた。
一向にして景子から(存在しない)自白を引き出せない取り調べ状況に痺れを切らした筑西署は、景子の逮捕に踏み切ることを決定、水戸地方裁判所に逮捕状を請求しようとするも、景子のかかりつけの産科医の猛反対や、証拠不十分による逮捕に関して地検からの疑念(主婦が着服したのならば、わざわざ警察に連絡することが全く矛盾している点)があり、結局この請求は却下された。
同じ頃、三日月新聞の西島記者がこの事件を耳にした。西島は事件の詳しい経緯を取材し、社会面に大きく特集記事を掲載した。この時点でようやく筑西署が何をしているか把握した茨城県警は、事件を筑西署から、横領など知能犯事件を担当する本部捜査第2課に移管させ、改めて捜査を始めた。
そして3月25日、再捜査の結果をもとに、本部が相川の着服を認めたため、主婦の冤罪は晴れることとなった。
茨城県警は、再捜査後の記者会見においてもなお隠蔽する姿勢を見せ、「無関係の市民を容疑者と誤認し…」と事実と異なる発表をしたが、即座に記者たちから猛烈な抗議の声が上がり、『誤認』という言葉を取り消した。
犯人は小池景子じゃないか?
水島はそう判断した。
相川たちのせいで犯人にされ、一生を台無しにされた。
スマホが鳴った。
刑事部屋の窓の外は夕焼け空だった。
「なんだ?サクラ、何か分かったか?」
《コロシです》
恐るべし!小池景子!
第2の犠牲者は誰だ!?
江戸川乱歩の『ABC殺人事件』を思い出した。
次の犠牲者は井野!?
突然ですが、読者にクイズです。水島はあるミスを犯しました。そのミスをこの章をよく読んで推理してください!
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