4人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「先輩!撮れましたよ!」
カメラのフォルダを見ると、そこにはしっかりと川辺に佇む野鳥の姿が収められていた。
「うん、よくやった!」
そう言って、先輩は嬉しそうに私の頭をポンポンと撫でた。
「……っ」
唐突な頭ポンポンと褒められた気恥ずかしさから、たまらず俯く。
「……やっぱり雪景色と小鳥ちゃんは絵になるね」
「えっ……あ、そ、そうですよね」
私を見つめる先輩の目があまりにも優しかったから、どぎまぎしてしどろもどろにしか答えられない。
「雪と鳥がいいコントラストになってて……」
「いや、違うよ。そっちもだけど──」
そう言いかけて、先輩は──。
「こっちも」
クスクスと笑って、もう一度私の頭にポンと手を置いた。
「えっ……?え!?」
飄々とした態度の先輩に、私の脳は沸騰寸前で──。
「せ……先輩……それは──」
寒さではなくわなわなと震える唇から、私は──。
「ただのキザです!!」
思いっきり叫んだ。
静かな雪空に私の声がこだました瞬間、一体どこに潜んでいたのか、たくさんの鳥たちがバサバサッと羽音をたてて一斉に飛び立った。
【end】
最初のコメントを投稿しよう!