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湊さんが部屋から出て行き、躊躇いつつもテーブルの前のソファーへと腰を下ろした。柔らかい。ふかふかしてる。しかもこれまたとても綺麗。もはや聖域だ。何があっても絶対に汚せないソファーだ。
広い部屋の中はどこもかしこも清潔感に溢れている。主の性格が反映されるプライベートなこの空間。狭い室内のどこかしら、いつも必ずゴミが落ちているような俺の部屋とは天と地の差。
湊さんの部屋にいる。大人の男の部屋にいる。その実感が突如として沸いてきた。
俺と同じ男の部屋だ。女の子の部屋にいる訳でもない。けれど妙に緊張してきた。だってこの部屋、なんだかちょっといい匂いするし。
心臓辺りがずっとザワザワ落ち着かないから、湊さんのお言葉に甘えてテーブルの上へと手を伸ばした。酒はもちろんまだ飲まない。ツマミだけ。洒落っ気な個包装に入っていたチョコレートがやたらと美味い。小さなお菓子までランク上位だ。
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