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【sister,knows all】
十月。
昼下がりの公園。
紅色と黄色の落葉の遊歩道。
お姉ちゃんの自慢のカメラ、そのファインダーを覗き覗き、私はお散歩の途中。
つ、と。
私、立ち止まっている。
これは。
ひとひらの、鳥の羽根?
なんだか、そう、ふしぎな色味の?
私、カメラを構えて、ファインダから、それを捉えてみる。
やっぱり、綺麗、とっても。
きらきらしたブルーの地色に、グリーンとオレンジの縁取り模様。
落葉の絨毯の紅色と黄色のモザイクの上の、その鮮烈なコントラストに、ファインダは、いえ、私の目は、釘付けに。
そう。
お姉ちゃんの大切にしている、この外国製のカメラ。
その一眼のレンズは、鮮やかな色を、さらに鮮やかに、神秘的な陰影を、いっそうに神秘的に見せてくれる。
それにしても、ふしぎな模様、ふしぎな色彩。
こんな綺麗な羽根を見るのは、うん、きっと、はじめてのこと。
「虹の色の混じった、雨のせいね」
と。
お姉ちゃんの声。
ファインダから目を離し、私、うなずいている。
そう。
お姉ちゃんは、いつだって、どこでだって、なんでもすぐに答えてくれる。
六月の、ブルーグリーンの雲の渦巻きは、澄みきった銀河から滲み出るグラデーション。
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