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門が開くとそこには見知った顔が。
『お久しぶりです、時雨さん。』
ついつい出会った頃の口調に戻ってしまった。
俺の声を聞き、驚いた顔を一瞬した後、また笑顔に戻る目の前の男。
否、俺の兄である藤堂時雨(トウドウ シグレ)。
時「氷雨。僕のことは兄さん、と。
あと敬語も。ここでは砕けた話し方でいいんだよ?」
我が兄ながら絵本の王子のような笑顔でそう言われた。
ま、そういうことなら
喋るのめんどくせーし、普通でいいなら先に言えっつーの。
『そう?で、兄さんが案内してくれんの?』
時「そうだよ。
でも、君が遅刻したおかげで入学式にすぐに参加だけどね。」
俺が砕けた口調で言い終えた後はとびきりの笑顔だったが今は目が笑ってない。
ナニソレ、コエーヨ。
時「ほら、急がないと。生徒会役員が入学式に遅刻なんて。バ会長が怒るからね。」
わ、兄さん力強すぎ
『わ、ちょっと、兄さん』
時「ん?あ、そういえば氷雨に会えた嬉しさで忘れてた、ハイ。これ。」
そう言い、兄さんが俺に渡してきたのは…
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