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「最後まで好きと言えなかったな」
ベランダから見える景色は初めてここに住み始めたあの頃から何も変わらないのに、私の後ろでは詰めかけのダンボールが少しと、空っぽになった半分の部屋が今までと違う、ぽっかり空いた心を映すように、そこに存在していた。
彼女は私のルームメイトだった。
「今まで本当にありがとうね」
最後まで、にかっと笑顔で笑う彼女は太陽のようで、私には眩しくて、ただ黙って見送ることしか出来なかった。
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