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女同士の関係はなんて脆いんだろう。何をするときもどんな時も、ずっと一緒だったはずなのに。ある日突然現れた知らない男に全部まるっと奪われて、それまで築き上げてきたもの全て、何もかも何だったのかと呆然としてしまうほどに、その男一色に染まってしまうなんて。
「嫌だなぁ、友情の方が大切だって!奈緒のこと好きだし特別だよ!」
口ではそう言っていても瞳は誤魔化せない。どこか今までとは違うウットリとした眼差しで、時々惚けた様子になる彼女は、恋をする前とは明らかに様子が違う。今まで遊べていた放課後は男と会う為に彼女1人だけ足早に帰るようになったし、一緒にいても話題は殆どが男についての内容へと変わった。
話を聞く限りじゃ『男』は歳上で、どんな女の子ともデートするような見境のない性欲の塊にしか思えなかった。
わからない。凛とした態度で男なんか必要とせずに1人で何でも出来る彼女が『男』に恋するなんて。私はそれがどんな感情なのか知りたくて、男に近付くことにした。下手な先入観から誤解しているだけなのかもしれない。きっと男が悪いと感じることは単なる思い込みで、彼女にとって素敵な相手なんだろう。
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