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待ち合わせ場所にきた男はどこかパッとせず冴えない外見をしていた。
背筋をまっすぐ堂々と歩く彼女と、この猫背でひょろっとした挙動不審な男が隣を歩く姿の想像がつかなくて、不釣り合いだ と思った。
彼女についてそれとなく、さりげなく尋ねてみると「あぁ、あの子、気が強くて苦手だなぁ」とヘラヘラと笑って返された。
どうしてこんな奴に負けたんだろう。悔しくてやるせなくて丸3日は泣き続けた。
しばらくしたある日の彼女は、いつもの明るい様子とは違って珍しく凹んでいた。「どうしたの?」と尋ねると彼に振られたと訳を話してくれた。どうやら私は勘違いしていたようで、私が出会った男は彼女の好きな人とはまた別で『男』の友人だったようだ。
あの男と隣を並んで歩くわけじゃない、良かった。あんなの相応しくないもの。私は安堵する。けれど彼女を振るなんて、と別の男について腹ただしく思った。
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