女友達

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「奈緒この前ショウさんとデートしたんだって?ひゅうやるじゃん?!」  彼女はニヤニヤとテンション高めに私の背中をバシバシと叩く。ショウさん、そんな名前だったのか。ジョウさんだかジョイさんかと名前うろ覚えで今初めて知った。あんなものはデートではない。敵の偵察だ。偵察と思い大人しく話を聞いていたら、何故か途中から人生観を語られ泣き出され、慰めて終わった。あれをデートと呼ぶのなら私は金輪際デートはしたくないと思う。揺さぶられながら真顔でそう思うも、楽しそうな彼女が可愛くて「うん」と肯定してしまった。  彼女が好きな『男』はショウさんとは違って真面目で几帳面な人だった。遊びには出かけても手は出さず、年の差から彼女は振られたらしい。 私はそれを聞いた時、嬉しかったしホッとした。やっと彼女は元に戻る。どこかでそれを期待していた。単なる私の願望でしかなかった。 「新しく好きな人が出来たんだ」  また私の知らない新しい『男』。『男』が居なくなった隙間は『男』が入る。友情なんかじゃ埋まらない。どれだけ友達が傷ついて慰めたとしても少ししか効果はなくて、元気にしてあげることは出来ない。どれだけ沢山の時間を一緒に過ごしても、性別が男なだけで私の知らない彼女の表情や身体の隅々までも簡単に知ることが出来て、女では一生知ることは出来ないし踏み込むことが出来ない領域があるのだと絶望した。
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