なおしたいコト

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「今週の睡眠時間の平均を出してみた。それじゃあ駄目だ。今日からは遅くても、午前12時半には寝るように」 「え~……。睡眠なら空き時間や車での移動を使って、さりげなく寝てるから大丈夫。食欲だってあるし、お酒もガバガバ飲める。俺はまだまだいけるよ」  せっかく分かりかけてきた勉強時間を、どうしても削られたくなかったこともあり、克巳さんに食ってかかった。  だって一人前の議員になるには、もっともっと勉強しなければならない。  それと同時に提出された要望書を処理するために、いろいろ調べる必要がある。それをもとにして、要望書に書かれたことを叶えなければいけないんだ。  自分の寝る時間を削って1秒でも早く、それらの仕事をこなしたかった。 「まったく、二階堂の予想通りになった。さすがは陵の行動を彼なりに分析して、しっかり把握しているといったところか」 「はじめがどうかしたの?」  二階堂はじめは俺が選挙に立候補するにあたり、革新党から用意された、勝率8割の凄腕選挙プランナーだった。  革新党にいる彼の兄曰く『本人にはきつく注意をしているんだが、行く先々で問題を起こすものですから。見境なく相手に手を出す有り様で……』とのことで、克巳さんからも注意するように、キツく言われていた。  そんな前情報があるにも関わらず、噂通りというか選挙戦に挑みながら彼に迫られたけれど、逆に克巳さんとの愛が深まるところを見せつけたからか、彼はあっさり身を引いてくれた。  そんないきさつはあるものの、凄腕の選挙プランナーとして名を馳せるはじめを、どうしても手元に置きたかった。名だたる議員との繋がりと、仕事についての正確な分析力が彼にある。  俺にないものをもっているはじめを口説き落とした結果、請け負っている選挙戦を終えてから、補佐という形で仕事を手伝ってくれる約束を取りつけていた。 「ねぇ克巳さん、はじめと何を喋ったの?」  するとチェックしていた電子手帳をもとに戻し、小さな溜息をつきながら俺を見つめる。 「選挙事務所で二階堂と別れた次の日に、地方からわざわざ電話をしてくれたんだ。これから毎日、仕事を含めた陵の生活習慣をチェックするようにって。真面目な性格だから一生懸命にこなしすぎて、体調を崩す恐れがあるだろうってさ」 (そんなときから、はじめに心配されていたとは――)
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