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「あんた、何言ってんの?」
「えっ!?」
びっくりして声が出た。体は妙に熱く、嫌な汗をかいている。目の前には、いぶかし気な母の顔。
「寝ぼけながらご飯を食べないで頂戴。ほら、遅刻するよ」
思わずはっとした。左手に持っているのはご飯茶碗で、机の上にはみそ汁と、醤油のかかった目玉焼き。トーストとコーヒーは、どこにも見当たらない。
「母さん、変な夢を見たんだ。現実っぽいんだけど、今思うと、絶対現実じゃない夢」
「また夜更かししてたでしょう。夜中にゲームなんて、やるもんじゃないよ」
結局、母にせかされるまま弁当を受け取り、家を後にする。空は黒い雲でいっぱいになっていて、すぐにでも雨が降り出しそうだ。
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