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「今度は俺から質問」
大神の白い息が私の眉上の髪を揺らす。
「君嶋は、流れ星にどんな願い事したい?」
まるで少年が意地の悪いなぞなぞでも出すみたいに、大神の笑顔は不敵に見えた。
きっと誤解されるかもしれない、でもひっくり返すのは今かもしれない。
だから私は賭けに出た。
そして流れる星の一つに、願いを込めた。
「私……大神の事、もっと知りたい」
一瞬驚いたように、大神が目を見開く。
でもすぐに口許が綻んで、「そんな事かよ」と笑い出した。
「いいよ、何知りたい?」
優しく微笑んでくれたのをいい事に、私はずっと知りたかった謎をぶつける。
「何でいつも寝てたの?」
「夜な夜な勉強してるから」
「えー! ガリ勉くんかよ~」
「志望大、急遽変えたから必死だったんだよ」
「へぇ、どこの大学?」
「すぐお隣さん」
「え……まさか国立?」
頷く大神に、今度は私が目を見開いた。
視界の隅にはまだ星の光が流れていたものだから、私は図々しくも、また一つ願い事をした。
私も大神も、一緒に受かればいいなって。
そう、願っていた。
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