「僕」という存在

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僕の部屋を出て、真っ直ぐ歩いた先に、大きな通りがあり、その通りには赤黒いカーペットが敷かれている。 そのカーペットの先へ進むと、大きな扉が見えた。 大きな扉は、どす黒く、死神を象徴するような骸骨や、角の生えた黒ヤギのようなものが鎌を構え、人から生命を奪うような彫刻が彫られていた。 そこの前へ進むと 「死神コードを」 と、その扉の前に1人の、いや1体の死神にそう言われた。 二足歩行のタコ。といえば良いのだろうか 顔はもちろんタコに見え、 糸くず1つすらない新品同様のスーツを身にまとい、袖からは何本もの触手が生えている。 しかし下半身はしっかりと人の形をしており、黒光りする靴を履いている。 僕は気にすることなく 「コード、『9q(ナインキュー)』」 と、自分の死神コードを言った。 その死神は、上司と同じように何もなかった空間から、1枚の紙を出現させ、何本もの触手のうちの1本をつかい、胸ポケットから万年筆を取り出し、その紙に向かって僕の死神コードを記入した。 するとその紙は青い炎をつけ、跡形もなく消えた。 タコのような死神はその紙が消えたことを確認し、 「照合中…。…照合完了。死神コード、9q。どうぞ、お通りください」 と、その死神は扉を開け、僕を通してくれた。
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