「彼」という存在

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「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 ここは、2人にとって美しい世界。 顔が熱い。 私はたぶん頬を赤らめていることだろう。 彼には私がどう見えているだろうか。 「誓います。」 彼の顔を見つめる。 でも、その彼はとても幼く、少年というのがぴったりな男の子だった。 (あれ?彼はこんなに小さかったっけ?) (もっと大きかったような…) そこで私は気づいた。小さくなったのは彼ではなく、私が大きくなったのだと──。
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