「彼」という存在

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私は見慣れた天井を見ていた。 そこからほんの少しだけ体を起こし、何が起きたのかはっきりと分かるまで数十秒の間ぼーっとした頭を使いながら考えた (えーっと、私は移川翠月で、ここは私の家のベッドで…?ということは?) 「…夢か」 と、私はそうつぶやいていた。 (懐かしいなぁ) (もうあの子の夢は見ないものだと思ってたのに…) 例えようのない懐かしさと淋しさを感じながら私はゆっくりと朝の支度をする。 髪をとかし、季節や流行に合わせた服をなるべく選び、朝ご飯と、昼ご飯用の弁当を作る。 「お、今日のは良い感じ」 と、料理の出来栄えを自賛する。私は独り暮らしをする前から家の手伝いで何度も作っていた。 最初は焦がしてしまったり、見た目が変だったりし、兄からは「グチャグチャ料理」と馬鹿にされた。 それが悔しくて、何度も練習をし、今では様々な料理を作れるようになり、家族の中では1番料理を作るのが上手くなっている。 「よし、これで完成っと」 と、朝食と弁当を作り終えた私は、その朝食を食べ(もちろん、味も最高な味付けだった。) 派手だと思わせることのないようなナチュラルメイクをし、家を出る。 (今日は良いことありそうだな) と、私は今日をわくわくしながら家を出たのだが…
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