第2章

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全面的にこちら側が介助をしない分、気を配る場面や、話術をいかにうまく使うかが重要となる場面もありました。 とある方では。 お風呂が嫌いな女性がいらっしゃって、何度声かけしても「今日はいい。昨日入ったから。」の一点張り。 当たり前ですが、昨日は入ってません。 この方の可愛い嘘です。笑 私の知っている限りこの方、最高で1週間近く入れてませんでした。正直、髪の毛は、ギトギトしていて、匂いもそれなりにすごいです。 とある日に、なんとか今日入ってもらわないとと介護士が張り切って声かけするもやはりダメ。 「お風呂に入ろうか」と言うと断られるため、ちょっと付いてきてと入浴場にお連れし、そこでお風呂に…と伝えます。 その方は、お風呂を見た瞬間、これまでが嘘かのように「こんな綺麗な所に入ってもいいの?嬉しいわ」と自ら服を脱ぎ始めます。 びっくりですよね。 あんなに頑なに「入りたくない」と言っていた人が。 おそらくですが、目から入ってきた情報がその方にとって重要で、綺麗とか、広いとか、お風呂の匂い、暖かさに惹かれたんだと思います。 五感って大事ですね。 入浴後、「気持ちよかったわ」と大喜びで大成功だったんですが、この方、認知症のため、気持ちよかったお風呂の認識がなされていなかったために、同じ手法でお風呂にお誘いするというルールができました。 ちょっとしたことなんですが、こう言う観察力や話術とかの力が大事なんですね。 無理やりお風呂に入るように説得よりは、断然いいですよね。
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