ひとひらの恋

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酔いがまわるにつれ あなたは言ってはならないことを話し始める 「俺、ずっと亜美のことが忘れられなかった」 「だから、何度も亜美にメ-ルしようと思った。でも、さとみから亜美には新しい恋人ができたと聞かされて、思いとどまった」 さとみもあなたのことを好きだったなんて知らなかった 神様のいたずらに、鼓動する胸 「そうだったの」 でも、私はそれ以上は言わなかった あなたの告白は、私を苦しめ、私を深い沼に落とす 心の襞をめくられるような痛みに決着をつけるため 私はあなたにメ-ルする 私も同じ思いであったこと、今でもあなたのことを好きだということ そして最後に、私の恋を終わらせてほしいと書く 失われた日々は取り戻せないけれど 思い出のレストランの向かいの席で 「今からの24時間は、すべてを亜美のためだけに使う」 と、あなたは努めて明るい表情を作って言う 二人は限られた時間を愛おしむように、濃密なデ-トをし、一夜をともに過ごした 翌日の昼、公園で向き合う二人 「もう24時間がたってしまったね」 寂しそうなあなた あなたは手を出して握手を求める 「じゃあ、元気で」 「うん。あなたもね。さようなら」 あなたの口に軽くキスをする あなたから離れ、凛として一人で歩きだす私 背中にあなたの視線を感じながら やがて角を曲がり、あなたのことを感じなくなった時 それまで堪えていた涙が溢れる 胸の底に、ひらりと落ちた恋 目の前の、いつもと変わらぬ、おだやかな風景が ぼやけて、揺れる
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