18人が本棚に入れています
本棚に追加
酔いがまわるにつれ
あなたは言ってはならないことを話し始める
「俺、ずっと亜美のことが忘れられなかった」
「だから、何度も亜美にメ-ルしようと思った。でも、さとみから亜美には新しい恋人ができたと聞かされて、思いとどまった」
さとみもあなたのことを好きだったなんて知らなかった
神様のいたずらに、鼓動する胸
「そうだったの」
でも、私はそれ以上は言わなかった
あなたの告白は、私を苦しめ、私を深い沼に落とす
心の襞をめくられるような痛みに決着をつけるため
私はあなたにメ-ルする
私も同じ思いであったこと、今でもあなたのことを好きだということ
そして最後に、私の恋を終わらせてほしいと書く
失われた日々は取り戻せないけれど
思い出のレストランの向かいの席で
「今からの24時間は、すべてを亜美のためだけに使う」
と、あなたは努めて明るい表情を作って言う
二人は限られた時間を愛おしむように、濃密なデ-トをし、一夜をともに過ごした
翌日の昼、公園で向き合う二人
「もう24時間がたってしまったね」
寂しそうなあなた
あなたは手を出して握手を求める
「じゃあ、元気で」
「うん。あなたもね。さようなら」
あなたの口に軽くキスをする
あなたから離れ、凛として一人で歩きだす私
背中にあなたの視線を感じながら
やがて角を曲がり、あなたのことを感じなくなった時
それまで堪えていた涙が溢れる
胸の底に、ひらりと落ちた恋
目の前の、いつもと変わらぬ、おだやかな風景が
ぼやけて、揺れる
最初のコメントを投稿しよう!