プロローグ

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プロローグ

こいつ分かってるのか。 「っ…お前…んっ」 目の前には酒のにおいをぷんぷんさせたヤツがいる。 何故こんなことになっているのか。頭がぼーっとするのは酒のにおいに酔ったのか、こんな時間だからなのか、それとも…。 「…んぐっ!!」 ――こんな力強かったのか、こいつ。 頭の端で考える暇がある分、まだ理性は残っているようだった。 「はぁ……どこ触ってんだ…」 なんとか言葉を振り絞って声を上げるが、時間が時間だけに大声は出せない。 押し返そうと力を込めた瞬間、首筋に激痛が走った。 「痛っ、お前なぁ!」 噛みやがったな、と怒りをこめようとした瞬間、 「ごめんね兄ちゃん、でも俺…」 潤んだ瞳に見上げられ目を奪われる。 「…っ」 頼むからそんな目で俺を見るな。俺がどれだけ耐え忍んできたと思ってるんだ。 ジンジンしているはずの首筋が淡い熱を帯び始める。 弟なのに弟だからこんなのはダメなのに。頭では分かっていたはずなのに…。 彼の瞳から目が離せなかった。 「…ひゃっ」 また首筋に顔を埋められると先程とは違った痛みがやってきた。 「お前…それは止めろ…っ」
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