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家族、そして兄弟
「おみちゃ~」
彼は本当の兄のように俺を慕ってくれた。だから俺もそんな彼のことを本当の弟のように思ってきた。可愛い可愛いちいさな弟。
彼との出会いは今から20年も前のことになる。
俺が5歳、彼が2歳の頃だった。5歳だった俺が当時のことをあまり覚えていないから、彼はなおのこと覚えてないに違いなかった。
「今日から家族になる人たちだよ」
当時のことはあまり覚えていないと言ったが、父から紹介された“家族になった日”のことは目を瞑れば思い出せる。小さいながらにもそれくらい凄いことだと分かったんだと思う。
「こんにちは。この子は今日から弘臣くんの弟になる子よ?仲良くしてあげてね」
お母さんの足にしがみ付きこちらを窺っている子はまだ赤ちゃんなのか凄く小さかった。その子に手を差し出す。
「僕、“ひろおみ”って言うんだ、これからよろしくね!」
すると彼は怯えているのか、それとも初めて見る人たちだからなのかおずおずと、俺の1本の指をちいさな掌で掴んだ。
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