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家族内に女性と言うと母親しかいなかったわけだが、父親はそのドラマを見る度に“永倉ヒトミは絶対に嫁にださん!!”と言っていたものだ。(ヒトミとはそのドラマ内のヒロイン役を務めていた女優さんであって役名じゃないところがややこしい。)当時、出だしだった彼女は世間の娘と言う位置づけで売っていたらしく、ちょうどマッチしたドラマだったため主演を果たしていた。
「もーパパったら~」
これも毎度のお約束だ。母親が父親を宥めるのもこのドラマが始まってからずっと続いている光景だった。だか今回だけはちょっと違った。最終回に近づいたためか前回よりも内容がドロドロとし、次回予告を見た父親がどこから声を出したか分からないような「う゛っ?!」という声を上げた。
「ヒトミと駆け落ちなんて許すもんかー」
泣くか怒るかどちらとも取れるような声色で言葉を放つとソファーにズンと沈み込む。それをまた母親が“自分の娘でもないのに”ともっともな意見で宥める。
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