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「ちょっと真也、まだ着かないの?」
「もうすぐだって!」
傾斜の急な山道にも関わらず私の数メートル上には、幼なじみの男子が余裕たっぷりに嬉々と歩く姿が見える。
幼稚園から一緒の彼は、驚くことに、幼稚園の年少の時に同じクラスになってから現在の中学二年生まで、ずっと同じクラスだった。
一学年二クラスだった幼稚園に対して、小学校は一学年四クラス、中学校に関しては一学年八クラスもあるのに、だ。
本当に、どれだけ腐れ縁が強いんだか。
でも、それだけ付き合いの長い幼なじみは、私にとって同性の友達よりも気心が知れた相手で、それは真也も同じようだった。
「ほら、着いたよ」
私よりも先に目的地である山の頂上にたどり着いた真也は、太陽の光を頭のてっぺんから浴びながらこちらに軽く手を振っている。
数十秒遅れて到着した私。
「……ゼェゼェ、ゼェ。何であんた、そんなに疲れてないのよ」
「えー。美結が体力ないだけでしょ」
ヘラヘラと笑う真也は、女の私よりも色白で細い手足をしているが、意外と体力と筋肉はついているらしい。
真也は学校ではバスケ部のエースだったということを考えれば、当然なのかもしれないけれど。
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