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だから、私は辛気くさくならないように、いつもの真也のようにヘラりと笑って、言ってのけた。
「それ本気で言ってる?」
だけど、そうだなって、真也は同じように笑って返してはくれなかった。
まるで射るようにこちらを見る真也の目は、まるで怒っているみたいで。
いつもだったら、ちょっとくらい真也に怒られたってちっとも怖くないのに、今日はその瞳がすごく怒らせてしまったように思えてビクりとしてしまった。
「……ごめん」
そんな私を見て、真也は呟くようにそう言うと、私に背を向けて何度か深呼吸をしているようだった。
「……ううん」
真也は、一体何を言いたいのだろう?
真也は、今、何を思っているの?
「俺は、寂しいよ」
「……えっ?」
「美結は何とも思ってなかったのかもしれないけれど、俺は……」
ドクン、と大きく胸が跳ねた。
真也はそのまま押し黙って、何も言わない。
真也は、何……?
言葉の続きを促すように真也の顔を覗き込むと、それに気づいた真也は私に顔を近づけて、思いっきり「べろべろばあ!」と変顔をしてきた。
「な……っ! ふははっ、変な顔!」
「やっぱ美結はそうでなきゃな!」
「ちょ……っ!」
まさか、ごまかされた!?
「……俺にとって美結は、特別な存在だから」
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