ヘイダル

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ヘイダル

 辰巳龍臣は富士の湯にいた。  若松駅からほど近い。  タオルを買っても500円、良心的だ。  ジェットバスに薬湯、露天風呂は南国をイメージして爽やかだった。  坊主頭の男を鉈で殺害した。  ヤクザだったらどうしようとヒヤヒヤしたが、住職だったから良かった。  液体窒素を手に入れた。  防弾ガラスをブチ破ることが出来る。  風呂から上がり駅に戻った。  新津駅行きの列車に乗り込み、喜多方を目指す。  車窓からボンヤリと夜の灯が見える。  喜多方につきゲンナリ、あまり店がない。  ラーメンの街ってイメージがあったのである程度都会なのかと思っていた。  覆面パトカーが近づいてきた。  液体窒素で防弾ガラスをぶち破った。 「ウワァァァッ!」  隠し持っていたファイアセブン・タクティカルの引き金を弾いた。SASから奪った物だ。  ダブルタップ(2連射)でもコントロール性が落ちない。しかも、アサルトライフル並みの貫通力がある。装弾数も20発。  まだ残り18発もある。  2人組の遺体を調べた。中年と若者、どことなく寺尾聰に似たオッサンがファイルを手にしていた。  警察手帳を調べた『福島県警捜査課・警部・加藤圭介』  ファイルにはハエ型ロボが映っていた。  ヘイダルって名前らしい。  イスラムで獅子を意味する。  この加藤って男、下等な奴ではなさそうだ。  キヨスクのオバちゃんに飯処の地図をもらった。  腹が減っては戦は出来ぬ!  キヨスクのオバちゃんを撃ち殺した。  残り17発。  雪が再び降ってきやがった。  駅に戻ると『強風で列車が大幅に遅れています』と放送が入った。  ベンチでサラミをつまみに缶ビールを飲んだ。  漸く列車がやって来て若松駅に戻った。  駅ナカのラーメン屋で『イタリアン風カルボナーラ風ラーメン』を食べていると終電が行ってしまった。 「クソッ!」  思わず地団駄を踏んだ。  半沢一之のことを思い出した。  中3のときの担任で生ゴミ以下の野郎だった。  竹刀で殴られたり、無意味なテストをされたり、友達の蓮なんか教室出パンツを脱がされてしまった。  日光で偶然見かけたときは死神に感謝したものだ。周囲は闇でおまけに誰もいなかったから轢き殺してやった。  タクシーもバスもダメだった。  カラオケを宿代わりにすることにした。 『ペッパー警部』を歌っていると銃声が響き、辰巳は蜂の巣になった。
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