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彼女と邂逅した彼は、彼女のことを好きになった
深い、深すぎると言っても過言ではないような森に、僕はいた。
「…………」
僕は、僕という人間は人殺しそのものだ。
故意に人を殺してるわけでも、事故を起こして人を殺してしまうわけではない。ただただ、回りにいる人間は僕がいるだけで、ぱたりぱたりと倒れて死んでいく。
特異体質、と言えばいいのだろうか? しかしながら、その特異体質というのは、特別ではあるが要らないもので、周囲の人間に忌み嫌われるものだ。
その体質のせいで、多分、僕は両親たちを殺した。胎児にいる時点で殺したのか、産まれてから殺してしまったかも分からない。それは、記憶が無いときから人を勝手に殺してしまう証明だ。
そして、僕の食料は、人の死だ。食べ物では、腹が膨らむことがあるかどうかは知らない……そもそも食べたことさえない。
僕という存在は嫌われるどころではなく、僕が移動するだけで遠くからいろんな物を投げられる。だから、食べ物を恵んでくれる人間なんてまずいない。
歩けば周囲の人を無造作に殺す。そんな体質。
無残に、悲惨に、人を殺してしまう。意識をもたず、ましてや殺してほしいなんて思ってなくても殺してしまう。
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