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「そうよ。貴方なら私を殺してくれるのかもと思ったけれど…………やっぱり、私は死なないのね」
「それは……お互い様だ……」
それ以降、僕は彼女と過ごすようになった。
二人で過ごすから当然、会話をする。
意外なことに、人と話すというのは案外楽しいことに気づいた。
今までまともに話したことがなかった僕は、彼女との会話が日に日に楽しいと感じていった。
人殺しの体質をもつ僕は、当然誰とも会話する機会は一度としてなかった。
一方的な会話、つまり罵倒のようなものは幾度となく聞かされたけど、彼女とは罵倒し合うことはなかった。
彼女と話したことは、ただただ、どうでもいいような、くだらないような会話。もし学校で話していたとしても面白くもなく、話題にもならないような会話。でも、彼女と僕は同じ体質の持ち主。当然、彼女も普通に話しをしたことなんてなかったようだった。
話して、共感し、同調し、ときには笑いあった。
僕は今までそんなことが、くだらないと思い、そんなことをする必要がないと割りきって過ごした日々。そんな日々を、今では後悔する。
だって彼女と話すことが、こんなにも面白くて楽しいとは思っていなかったから。
少女との仲が深まっていくごとに、僕は多くの、様々な感情が新たに芽生えた。
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