ハル

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サツキと会う事を決めたのは確かに自分自身が落ち着いたからという理由もあるが、サツキから言われた言葉が気になったという事もある。 それは、ナツの事で話しておきたい事がある。そうサツキから言われたのだ。 「ちょっと待っててね」 サツキはそう言うと席を立ち上がり近くにあった自動販売機で飲み物を買った。ここの自販機は路上に置いてある自販機とは少し違い、学生達の為に価格が安く設定されている。 「お待たせ」 サツキがそう言いながら手に持っていたのはココアだった。 「サツキってココア好きなんだね」 サツキはココアが入った缶を振り、手で握りしめ頷いた。 プルタブの開音がカフェスペースに響き渡り、その音を境に辺りには静寂が広がった。
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