プロローグ

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懺悔の意味を込めてこの手記を残す事にした。あの一年間を忘れない為に。 私はあの一年を通して、人の欲望とは醜くて酷いものだと痛感した。心の奥底にある黒い雲は誰にでもあり、その雲は時折顔を出し、化け物の姿に形を変え現れる。その事を私は四季達に教えてもらった。 自分の欲望を満たす為に人を騙して利用する。 そんな事を当たり前のようにできる人間がいる事を知ったのだ。 しかし、悪いのは四季達だけではない。 私も自分の欲望を満たす為に嘘をつき、人を騙したのだ。 そう、私は自分の欲望を抑える事が出来なかった。 もし、今の私が当時の私に会えるなら…… そんな事を時折思う。 そしてこの手記はまだ続きがある。 しかし、続きを書くのにはまだ早すぎるくらいに心の整理ができていない。 バラバラになった四季達に懺悔の意味を込めて。 沢 サツキ 私はそこまで書き、ペンを置いた。
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