ハル

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ナツと最後に会ったのはちょうど一週間前。大学近くの飲食店で夜ご飯を食べていた。 その時の会話は今でも覚えている。鍋をつつきながら二人でミステリー小説について熱く語っていたのだ。語っていたといえば響はいいが、実在はナツのミステリー小説論を聞くだけ。 ナツは、ミステリー小説は常にフェアでなければいけない。と熱く語っていた。ハルはそれを黙って聞いた。ナツはミステリー小説について話し出すと止まらなくなる。ナツの話に途中で口を挟むことなどしてはいけない。それはサークル内の暗黙の了解だった。 しかし、熱弁をしているナツについ、少しの反論をしてしまった。それが事の発端になりナツに火を付けた。 ハルはナツの逆鱗に触れてしまったのだ。反論してナツを怒らせたのは二度目の事だった。
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