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ナツの目は吊り上がり、アルコールを飲んでいるわけでもないのに顔は燃え上がる炎の様に真っ赤な色に染め上がる。
そしてナツの怒声が店内に響き渡った。周りのお客さんは驚いた表情を浮かべてハルとナツを凝視する。
さっきまでの陽気な店内はそこにはなかった。一瞬で空気が変わり、寒空の下に放り投げ出されたかの様に店内は凍りつく。
ナツはそのままの勢いで拳をテーブルに叩きつけるとそのまま店内を出た。幸いテーブルの上に置いてあったグラスなどは落ちていなかったので、お会計を済ませ急いでナツを追ったが既に姿はなく、ナツは夜の闇に姿を消した。
色々な感情が嵐で荒れた海の波の様に一気に押し寄せてきた。ハルには涙を止めるすべはなかった。
帰り道、満点の星空の下。ナツの事を思って泣いた。流れた涙はハルの体を芯から冷やす。その日を境にナツの居る日常は闇に葬り去られた。
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