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「実はね…… 」
ココアの甘ったるい香りでハルは我にかえった。サツキは深妙な面持ちでハルの目をじっと見た。
その瞳は黒く輝いていて、まるであの時に見た満点の星空の様に思えた。
「何? 」
ハルがゆっくりと聞く。サツキのその表情から何か良くない事だというのは一目瞭然だった。
「この前、二週間くらい前かな…… ナツが知らない女の子と居酒屋に入っていくのを見たの」
サツキの口から出た言葉はハルの思った通り良くない事だった。
それはナツが浮気をしていたかもしれないという事だ。
ナツは確かに遊び人気質だ。
ハルがナツという恋人を優先していたのに対して、ナツは決して恋人だけを優先するような男ではなかった。友達との付き合いを一番に考えているのがナツという人間だ。
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