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「いいよ」
サツキは少し微笑んだ。さっきまでの暗い表情は姿を隠していた。
ハルが海に行きたいと言ったのは話題を変えたいが為の嘘ではない。本音だった。
前にサツキが海に行きたいと言っていたのを思い出したのだ。それに海はナツの事を思い出させてくれる。
外を見ると既に空は暗く、街の光がキラキラと光を放っていて、その光がナツとの楽しかった思い出の様に思えた。
まだ心の何処かでナツが隣にいないという事実を信じられない自分がいる。
「行こう、海。私がバイクで乗せていってあげるよ。あっ、でも行くなら新しいマフラーを買わなきゃいけないや、今使ってるのもうボロボロなの」
サツキは少し笑顔を見せた。
その表情に安心する。
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