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「じゃあそろそろ帰るね」
サツキはそう言うと空になったココアを握りしめて立ち上がる。
「ありがとう、サツキ」
「いや、私は何もしていないよ。 本当に何もしてない…… 」
いつのまにか握りしめていたアイスコーヒーの氷は溶けていた。体温でその氷が溶けたように、私の冷え固まった心もサツキがくれた温もりで少し溶けたような気がする。
「ねぇ、サツキ」
サツキと会って少し気持ちが楽になり笑顔を取り戻せた様な気がする。今なら怖くて出来なかった事も出来るような気がした。
「どしたの? 」
カフェスペースの外へと向かっていたサツキが振り向く。
「今度、ナツに会いに行くよ」
ハルがそう言うとサツキは微笑んでカフェスペースの外へと姿を隠した。
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