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次の日から、永瀬は大学で研究に本格的に取りかかり、昂平は不動産屋巡りを始めた。 車使ってもいいよ?と永瀬は言ってくれたが、運転しなれない昂平は、永瀬のコンパクトで可愛いとはいえれっきとした外車を傷つけずに乗り回す自信はなく、愛用の自転車でいくつかの不動産屋を回り、数件の引っ越し先候補を見に行く。 お昼は永瀬と落ち合って一緒に食べ、午後またそれぞれの作業に戻り、夕方待ち合わせて一緒に帰る。 概ね昂平のほうが早く終わるので、永瀬の研究室で多少の手伝いもしたりして。 そんな何日かを過ごし、昂平が引っ越し先の候補を絞り込み、明日はいよいよ契約の手続きに進むだけ、となった夜。 慣れというか、永瀬の癒しの雰囲気がそうさせるのか、もうセミダブルの狭いベッドに二人で寝ることに全く違和感を感じなくなった昂平は、そのひとの腕にくるまれるようにしてウトウトしていた。 始めは一応背中を向けて背中合わせで寝ていたのだが、朝起きるといつも抱き合う状態になっていたし、狭い中無理矢理身体を離して寝るよりも、永瀬にくるまれて眠るほうが温かいし寝違えることも少ないし、永瀬も全然気にしてないし…となんかもういろいろ考えるのがめんどくさくなって、今に至っている。 「昂平君、明日契約だっけ?」 「ん」 眠いから返事も素っ気なくなる。 「あのさぁ、実は僕、考えてたんだけど…」 永瀬はのんびりと言う。 「僕もこの部屋が手狭だから、引っ越そうと思ってたんだよね」 「ん」 「ちょうど更新だし」 いい不動産屋を紹介しろってことか? 眠い頭でぼんやり考える。 ずっと泊めて貰っている恩があるし、不動産屋も何軒か回ったので、対応の良し悪しぐらいは教えてあげられるが。 昂平は、眠気と闘いながら視線を上に上げる。 永瀬の綺麗な顔を見上げた。 おっとり微笑むいつもの。 「急にこんなこと言い出したら、昂平君、困るだろうなぁとは思ったんだけど…」 永瀬が、不意に昂平の背中に回した腕に力を込めた。 「昂平君、僕とルームシェアしたりしないかなぁ?」
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