先輩と俺

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先輩と俺

人気のない三年生の教室はガラリとしていて、同じ学校内にあるのに、一二年のいる階とはまるで別世界だ。  三年生の授業は一月で終わってしまったからさ。  俺の所属する写真部は、卒業式の写真を撮ることになっているので、その時、俺は『先輩』と再会できるんだろうけど。  人目のないことを確認して、教室に入る。  何度か廊下からのぞいたことがあるから知っていた。  ここが先輩の机。  先輩の座っていた椅子。 椅子を引くと予想以上に音がして俺はビクッとしてしまった。しばらく様子を伺ったけど、誰かくる様子はないので、そのまま椅子に腰をおろした。  窓の外には雪がちらついている。  春になれば雪は消える。俺の存在も、先輩の記憶の中で、春になれば新しい記憶に上書きされて、この雪みたいに跡形もなく消え去ってしまうだろう。だって、ただの後輩だ。  そういえばここって学校の裏庭に面しているんだった……。  裏庭にある遅咲きの桜の木も、この寒空の中じゃ、凍えているか。  腰を上げて、窓外を見下ろした俺は息を飲んだ。  俺が写真部に入部してすぐの頃。     
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