第03講義 大恋愛(情報化の歴史 第25節 大恋愛機能の設定)

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 合理性の点から考えると、まったくもって非合理な仕組みです。インターネットの発達によって情報の近代化を迎えたホモサピエンスは、その特徴であった共同幻想能力を薄めていきます。そしてこの「大恋愛」という共同幻想の非合理性に気付くのです。なぜわざわざ見ず知らずのオスとメスが惹かれ合わなくてはならないのか。ホモサピエンスが技術力によって不老不死を手に入れると、いよいよその疑問が大きくなります。自分が不老不死であるならば、子孫を増やす必要もない。子孫を増やせば人口が増えてしまうだけである。「大恋愛」が有性生殖のための共同幻想であるならば、子孫を増やす必要が無くなったホモサピエンスには無用である。こうして、「大恋愛」という共同幻想の消滅は決定的になりました。  そして、ホモサピエンスは絶滅していきます。環境変化に適応できなくなったためです。種としていかに環境変化に適応するかという観点で見れば、子孫を残して死ぬという淘汰の仕組みが重要だったのです。ホモサピエンスはそれに気付くことができませんでした。
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